部下の指導方法は沼にハマると「何を言っても聞いてもらえない。辛すぎワロタ」となってしまいます。特に今まで学生生活などで「後輩がいたことがない」人は会社で人生で初めての後輩を持つことになります。
何でもそうですが「初体験は上手くいかない」ものです。
また学生生活と違うのは「年上」「仕事のできない奴」「自分に反抗的な奴」といったややこしい人たちが部下になります。
すべての部下が「イエッサー!」とビシッと敬礼してこちらの指導を聞いてくれるわけではありません。いやむしろ部下というのは「思い通りに動かない」存在です。それでも部下の指導はしないと仕事になりません。一人でできる仕事なんて知れてますよね。部下に強力に協力してもらうことで仕事もはかどります。
部下の指導方法を考察しましょう。
訳の分からないクイズを出さない
部下を指導するときに、一番気を付けないといけないのが「部下にクイズを出さない」という点。たまにいるんですよ、「職場をクイズ大会と勘違いしてるやつ」。
クイズ王:「どうしてこの作業が必要か分かる?」
部下:「え?いやちょっと」
クイズ王:「いやちょっとじゃなくて。分からないの?」(シニカルな笑みを浮かべながら)
部下:「・・・はぁすみません」
クイズ王:「この作業はね、重要なんだよ!」
部下に指導するのは「早く仕事を覚えてもらいたいから」に他なりません。そのため「クイズを出してるワンターンがもったいない」のです。「まずは基本的なことを覚えてもらう」必要があります。
上司の立場になると「知っているかどうかの確認」や「自分のほうが優秀なんだと伝えたくなる」のです。ただこれは「本当に時間の無駄」なので、さっさと解答から伝えて、その後に「どうしてそうなったか」というのを伝えるほうが良いです。
これは部下に限らず、「自分の得意分野についてクイズを出しながら会話する人」はうざがられます。
食事に行ったときでも「このワイン、普通のワインと違うの分かる?」とか「アメリカやヨーロッパでは基本的な考えなのですが・・・」とか。いや知らんがなと。
部下を指導するときも「ついついクイズ形式になってしまう」人は多いです。部下たちから「きょうもあの人から主観クイズ出されたよwアタックチャンスとか言ってた気がする」と馬鹿にされる前にクイズ形式の指導は止めにしましょう。
進捗度をはかるときは、別途そういう機会を設ければ良いだけのことです。
信頼関係がないと響かない
次はかなり基本的なことなのですが、「あなたは部下にとってどういう存在ですか?」ということです。
一番良いのは当然ながら「部下から尊敬の眼差しで見られ、自分が発する言葉すべてをスポンジのように吸収してくれる」という確固とした信頼関係がある状態。
ただし多くのサラリーマンにとって「それは難しい」です。そもそも「ただ短い期間にただ指導をするだけ」といった場合も多いです。そのため「信頼関係とかへったくれもない」状態になります。
そんな「信頼関係とかない状態でも、指導をしなくてはいけない」のが社会人なのです。そんなときは「相手が理解できる簡単な言葉で、相手に『なるほど、なるほど』と納得させていく」のが一番です。
部下からの小さな「なるほど」の積み重ねによって、信頼関係を構築していきます。部下から「なるほどですね」と言われてカチンときてはいけないのです。
次は長い期間部下と一緒にいる場合の信頼関係の構築の仕方ですが、「これは相性」によります。ムカつく奴はムカつきますし、合わないことも多いです。
ただ最初は「すべての部下になるべく平等に接する」のが重要。特に男の場合は、女部下がいると「下心が丸出し」になることもあり「可愛い部下がいたら気に入られたい一心でやたら褒めまくる」ケースもあります。あとは可愛い女の部下にだけやたら話しかけたり。
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このような「不平等」は一番部下が見ています。
あとは自分から「兄貴感」を出すのもキツイです。
「何か困ったことがあったらいつでも相談してきて」とか。本来、相談とはメンドクサイことなのに自分から「俺は兄貴だぜ感」を出す人は、今まで相談されたことがない人です。そんな人は会ったばかりの右も左も分からない20代の若い人に向かって「いつでも相談してこいよ!」と言います。
これも上司になったら、「そこまで」言わなくても良いです。つまり「常識的な範囲で報告して」ということでOKです。当然ながら信頼できる部下には「何かあったらまず俺に相談して、できるだけ何とかするわ」と言うのは当たり前です。それがサムライです。
ただ上司のなかには「部下の行動を逐一チェックするマン」もいます。
こういう「部下の行動把握するマン」は「逆に部下から信頼されない」ので、自分の仕事に集中するようにしましょう。
すべての部下と良好な信頼関係を築くのは「ガンジーでも無理」なので、自分のことを慕ってくれる部下のことだけでも責任を持って「できるだけ出世させてやる」のが一番です。
「信頼関係と出世はイコール」なのです。
また「ちょっと相性が悪い」と感じる出世しそうな優秀な部下には「少なくとも邪魔しない」ように指導することで、役職を抜かされたときも気まずい雰囲気になることがありません。特に大手では「めちゃくちゃ部下に抜かされる」ので、最初の指導のときに調子に乗ると、後から優秀な部下に出世で抜かされて痛いしっぺ返しを食らうこともあります。
30代後半ぐらいから出世競争で抜かされることもあるので、「後々のことを考えて」部下への指導は平等にするのが良いです。
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「何が重要なのか」基準を示す
部下への指導方法が下手な人のなかには「何が重要なのか分かっていない」人もいます。部下に仕事を教えるときに
「すべて重要」みたいに言うのです。
いや確かに、細かく言えばすべての仕事は重要ですが、「本当に重要なポイント」と「気を抜いても良いポイント」はどんな仕事でもあります。
そのため「妙に責任を取りたくない」と考えている人は「とりあえず全部重要」と言います。
しかしこれだと何も知らない部下は「本当に全部重要」と理解して、「最も重要なところで失敗する確率が上がる」のです。この「最も重要な部分の失敗」を減らすためにも、最初に「これが一番重要」という基準を示す必要があります。
このような「基準」は指導する側に委ねられていることが多いです。そのため「この仕事はどれも重要。仕事中は一切気を抜いたらダメだから」と言うのではなく、「お客さんが来たらキリッとしたそれっぽい顔しといて。客商売だからやっぱり客の前ではプロじゃないと」といった具合に「自分にとって大切なものは何か」というのをマニュアル通りに教えるのではなく、自分にとっての基準を示すのが重要です。そうすることによって「本当に重要な部分での失敗が減る」ことになります。
またそういった基準を示すことによって、自分の仕事もやりやすくなります。部下との連携が取りやすくなり、仕事上のストレスも軽減されていきます。
何かの基準を作ることで、部下のなかには「は?別に客なんか関係なくて店の利益のほうが大事じゃね?」と反発されることもありますが、それでも自分が仕事に対して重要と考えている基準を示すのは大切です。
自分の基準に反発する部下もいますが、なかには自分の基準に賛成してくれる部下もいます。そうなったら、自分の考えに近い部下を大切にして仕事をしていったほうが単純に仕事をしていて楽しいです。
見返りを求めない
部下を指導していると、「私は部下に良いことをしてあげたんだから、部下からも『何か見返り』ほしい」と考えるようになります。
いや「見返りがあって当然だ」と。
しかし実際は「ほぼほぼ」見返りはありません。もっと言えば、「全然相手に響いていなかったり」「煙たがられる」ケースのほうが多いです。
そのため、せっかく丁寧に指導してあげた部下が「全然言うことをきかない」ようになっても、「くそー!あいつ、俺がどんだけ丁寧に教えたと思ってんねん!」とイライラしてはいけません。
ギブ&ギブの精神で指導しないと、こちらの身が持ちません。