そこはかとなく感じる「面倒見がいい人」っていますよね。
特に社会に出ると「なんちゃって面倒見がいい人」「面倒見がいいと周りに見られたい人」などさまざまな人がいます。
また、年齢を重ねるにつれて管理職になったりすると「面倒見がいい」とは「社会的な評価」にもつながります。
ただし「自分勝手に誰かの面倒を見る」とまさに「余計なお世話」「あいつウザすぎ」「誰かに慕われる器じゃないワロタ」となってしまいますよね。
そこで今回の記事では、面倒見がいい人の特徴と面倒見がいい人になるための方法を考察します!
面倒見がいい人の特徴
「面倒見の良さは“自己効力感の高さ”から生まれる」
臨床心理士で人間関係論に詳しい松岡瑞穂氏は、面倒見がいい人の心理的背景について以下のように語っています。
「他人を支えることができる人は、自分がある程度満たされていて、“自分は人の役に立てる”という実感=自己効力感が高い傾向にあります。だからこそ無理なく、見返りも求めずに行動できるのです」 (参照:松岡瑞穂 臨床心理士・カウンセラー)
面倒見がいい人は単に“親切”なだけではなく、内側に「自分の力で誰かを支えられる」という自信を持っている人と言えます。そして、それは持って生まれた素質ではなく、後天的にも育てられる資質でもあります。
共感力が高く、「放っておけない」気質
面倒見がいい人の第一の特徴は、他人の気持ちに敏感であること。誰かがちょっと困っていたりすると、それを素早く察知します。また大げさに指摘するのではなく、自然な流れで対応してくれるのです。
相手への関心と観察力があってこそ、「面倒見が良くなる」のです。
行動が早く、フォローが的確
困っている人がいたときに、「誰かが助けるだろう、私の問題ではない」と我関せずといった雰囲気で、ブラックコーヒーを飲んでいるのではなく、自分から動くというのも特徴。しかも、行動も早くフォローも的確です。「ここ、面倒見が足りてないな」と気づいた瞬間に動いている人なのです。
誰かが気まずくなりそうな場面で、さりげなく話題を変えて場をなごませる。すべて“さりげなさ”の中に配慮があります。
自分を犠牲にしすぎない“ちょうどよさ”
面倒見がいい人は、よくある“お人好し”とは少し違います。他人に合わせすぎて自分の負担が大きくなってストレスに感じるまで無理はしません。あくまで「無理のない範囲での支え方」ができるこそ、長く人に頼られるのです。
「ここまではやるけど、それ以上は相手がやるべき」と線引きができている状態。このバランス感覚があるからこそ、“いい助け方”ができるのです。
恩着せがましさが一切ない
「助けてあげたのに」「あなたのためにやってるのに、あなたは何でそれを理解しないの?」といった押しつけがましさがないのも特徴です。面倒見がいい人は、「やったことは自分の意思」という自覚があるからこそ、見返りを求めません。そのため、相手も素直に感謝できます。
恩着せがましい人は「相手のためというより、自分のために」相手の面倒を見ているので、手に負えません。
面倒見がいい人になるために必要なこと
「面倒見がいい人」には日常の意識と習慣の積み重ねで後天的になることが可能。誰でもある程度までは“面倒見の良さ”を身につけることはできます。
ただし、注意しなければいけないのは、“何でもやってあげる=面倒見がいい”ではないということです。真面目で優しい人ほど、人の面倒を見すぎて自分をすり減らすケースが多く、結果的に「お節介」「自己犠牲型」になってしまいます。
それでは、面倒見がいい人になるために必要なことを見ていきます。
まずは「気づく力」を磨く
面倒見のいい人に共通しているのは、「相手の変化に気づける人」です。まずは「気づき」が重要。これは特別なスキルではなく、「相手に関心を持つ」ことで育っていきます。
意識するだけでも変わります。相手の表情や声のトーン、または振る舞いを見たときに「ちょっとした違和感」を覚えるようになります。「少し注意深くするだけ」で自分の行動が変わります。
助ける前に「聞く姿勢」を持つ
「ワイが面倒を見るで!!」という気持ちが強すぎると、相手の状況を理解する前に「キミは間違っとる!ワイの言う通りにすればええ!!」と言いたくなってしまいます。しかし、本当に頼られる人というのはよく言われることですが、“聞く力”が高いのです。
相手の話を遮って、「ワイならこうするでぇ!」などと余計なことを言わず、相手の話をじっくりと聞く。それだけで相手は安心しますし、「この人はちゃんと分かってくれる」と思えるようになります。何か言ったり、行動するのはそのあとです。焦って何かをしなくても、“話を聞いてくれた”という行為自体が相手の支えになります。
「やりすぎない」ことも大切
面倒見がいい人になるために気をつけないといけないのが、「境界線の設定」です。どれだけ優しくても、どれだけ経済力があっても、他人の人生のすべてを背負うことはできません。
たとえば、「アドバイスはするけど、最終的な選択は本人に任せる」「手伝えることはするけど、自分の時間や健康を犠牲にはしない」といったラインを明確にすることが重要です。やさしさと境界線はセットでなければ、長続きもしないし、逆に相手からも信頼もされません。
「しっかりとドライな部分を持つ」というのも大切です。面倒の過剰摂取で自分がやられては元も子もありません。
“支える力”は“支える自分のケア”から始まる
メンタルサポート研究家の長谷川郁也氏は、面倒見がいい人になるうえで大切なことについて、次のように語っています。
「人を支える力というのは、まず“自分を支えられていること”が前提です。自己管理ができていない人が誰かを支えようとすると、いずれ破綻します。だからこそ、まずは自分自身のメンタルやエネルギーを整えることが、他者への余裕につながります」 (参照:長谷川郁也 メンタルサポート研究家)
“面倒見の良さ”とは、内面的な余裕と自己管理能力の延長であるということ。優しさだけでは続かないということです。自己管理や感情のコントロールをしっかりとできる人が、“支えられる人”になります。
上から目線はよくない
面倒見がいい人は、決して“上から目線”で誰かを助けません。何か相手を助けたときに「何もできない子羊のようなあなたを私が導いてあげた」などと思っていると、それは表情や態度に出ます。
当然ながら相手からも見透かされるので、短期的には上手くいくかもしれませんが、長期的にはそういう上から目線の人は上手くいきません。
たまたま自分が誰かを助けられる立場にあるだけ、というのを意識しないとドンドン周りから疎まれる存在になってしまいます。
まとめ
面倒見がいい人は「誰にでも優しくて、どんな時も助けてくれる」そんな印象を持たれがちですが、実際はもう少し現実的です。相手への関心を持ちつつ、どこまで踏み込むかの線引きがしっかりしている。何でもかんでも面倒を見るのは現実的に無理ですし、自分への負担も大きくなります。
「自分のできる範囲でする」というバランス感覚も大事です。
若い人はそこまで気にする必要もありませんが、年齢を重ねると「ある程度は面倒見がいいほうが良い」のは確かです。
実際のところ「自分が誰かの面倒を見たところで『分かりやすい見返りが返ってくることはほぼない』」ですが、ごくまれに「相手から感謝されたり」することもあります。
そういったときの感情は「自分の幸福感をもの凄く高めること」にもつながるので、誰かの面倒を見るというのは最終的には「自分にも返ってくること」とも言えます。
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