職場や友人関係でも、忖度ばかりしている人は一見「気配り上手」や「空気が読める人」と評価されますが、実は時間が経つにつれてどこか上手くいかなくなってしまいます。
「どこか軽く見られ」たり「本音を隠している」と判断されます。
もともとは「相手の気持ちを察する」という良い意味で使われていましたが、最近ではむしろネガティブなイメージで使われることが多くなりました。
今回は「忖度ばかりする人」の特徴と、なぜそのような人は途中から上手くいかなくなるのか、具体的に見ていきます!
専門家の意見:「忖度が過剰な人は他者依存が強い」
心理カウンセラーであり、人間関係の専門家である平野由紀氏は、「忖度ばかりする人」について次のように分析しています。
「忖度が強すぎる人は、相手の気持ちや評価に過剰に依存しています。自分の意見を出さず、相手が望んでいるであろう答えを推測し、その通りに行動します。一見、協調性があるように見えますが、実際は自分の意志や軸がなく、精神的にも非常に脆い状態です。」(参照:平野由紀 心理カウンセラー・人間関係専門家)
平野氏によれば、忖度ばかりする人は他人の評価や反応を基準にして行動するため、長期的には自身の判断力や行動力が失われていくということです。相手のためにはなっても「自分のためになってない」ということですね。
忖度する人の特徴
自分の意見や考えを表明しない
忖度ばかりする人は、自分の意見や考えをはっきり伝えることがありません。常に相手が求めている意見や答えを推測し、それに合わせます。推測が好きなので、コナン君を見過ぎている可能性も残っていますね。
また、会議などで「あなたはどう思う?」と聞かれても、「何かふにゃにゃしたこと」を言っているだけで曖昧な返答をしません。これは自分の意見を出して否定されることを過度に恐れているためです。
他人の顔色を常にうかがっている
忖度が強い人は、相手の顔色や表情、言葉のニュアンスをこと細かに観察し、「相手が何を望んでいるのか」をずっと推測しています。相手が少し怒った表情を見せるだけで心臓がどきどきして不安になり、「私が何か間違ったのかな?やばいやばいやばい」とすぐに心配します。
その結果、必要以上に気を使いすぎて疲弊し、他人の些細な態度に一喜一憂するようになります。
八方美人で誰にでもいい顔をする
忖度する人は、「絶対に誰からも嫌われたくないんやで!」という心理が強いため、八方美人になりがちです。表面的にはうまく人間関係を維持できますが、時間が経つと「信用できない人」「本音がわからない人」と評価されてしまいます。
八方美人のつもりが、最後は誰からも軽く見られてしまうのです。
リスクを取った行動や発言ができない
忖度ばかりする人は、自分自身の責任で行動することを恐れます。そのため、少しでもリスクがありそうなことや、新しい提案をすることが苦手です。
常に安全な道を選び、周囲に同調するため、他人と違ったことができず、自分の個性や能力を十分に発揮できません。最終的には「存在感が薄い」と言われるようになってしまいます。
忖度ばかりする人が上手くいかなくなる理由
自分の意見や判断ができなくなってしまう
忖度ばかりする人が上手くいかなくなる最大の理由は、「自分で判断ができなくなる」ということです。いつも相手の気持ちや考えを推測し、それに従うことに慣れてしまうと、「自分がどう思っているか」「自分が何をしたいか」がわからなくなります。
そのため、いざという時に自分で決断する能力が低下し、重要な局面でアワアワとして判断を決定的に間違えたりします。職場や人間関係でも、自分の意見を持たない人は徐々に信頼されなくなり、次第に居場所を失ってしまうのです。
周囲から「本音がわからない人」と距離を置かれる
忖度が強すぎると、周囲の人から「何を考えているのかわからない。どこかのスパイかな?」と思われます。表面的には人当たりがよく、誰にでも優しいのですが、あまりにも自分の意見や本音が見えないため、次第に周囲の人が不安を感じてしまうのです。
人は自然と「本音で話せる相手」を求めます。忖度ばかりで表面的に取り繕うだけの人は、「あの人はどこかのスパイかもしれない」として距離を置かれ、孤立していくことになります。
他人に振り回され、ストレスを溜め込みやすい
常に他人の顔色をうかがい、相手の気持ちを推測して行動するというのは、非常にストレスのかかる行為です。忖度ばかりする人は、自分の意見を封じ込めることで勝手に精神的に疲弊してしまい、次第に精神的な不調や健康面のトラブルを引き起こします。
最初は良かれと思って始めた「気遣い」も、気がつけば自分の心をすり減らす原因になってしまうのです。
「何をしても感謝されない」という虚しさに襲われる
忖度ばかりしている人は、周囲から評価されたい、認められたいという欲求を強く持っています。しかし、皮肉になことに「忖度」は相手にとって当たり前のことになりやすく、いくら頑張って気を遣っても感謝されることが減っていきます。
その結果、「これだけ気を使っているのに、なぜ誰も評価してくれないんだ」という虚しさに襲われ、「涙目になりながら田舎にいるママのことを思い出す」ということになってしまいます。
忖度ばかりの人を卒業するために
それでは、忖度ばかりしてしまう性格から卒業する方法を見ていきます。
ポイントは、「自分の考えをしっかり持つ」ことです。アドラー心理学の「他人に嫌われる勇気」ではありませんが、自分の意見をはっきり伝える勇気を持ちましょう。周りの人は「自分勝手な意見を言っている」のに「自分だけ周りの人を常に意識した発言をしている」のは公平ではありません。
相互関税ならぬ「相互発言」の精神でガンガン発言していきましょう。
また、「嫌われること」をあまり恐れないようにするのも大切です。全員から好かれることは不可能です。自分を「変に下げて」まで他人に合わせる必要はありません。
「忖度」を過度にしないことで、精神的な余裕が生まれてストレスも軽減します。さらに、積極性や行動力が回復し、リスクをとった新しい挑戦もできるようになります。
まとめ
忖度ばかりしていると、長期的には必ず行き詰まります。最初は評価されても、徐々に主体性や意欲を失い、周囲からの信頼も薄れてしまうからです。
また自分自身も「こんなに周りに気を使っている私が評価されないのはおかしい」と気分が落ち込んでいきます。「忖度する」のは「そこまで重要なことではない」のです。相手から軽く見られておしまいです。
相手から尊重されるようになるためには「自分の価値観をしっかりと持ち、それを他人に伝える」ことが重要です。
忖度ばかりしていても「そこまで良いことはない」です。それよりも「自分らしく振る舞う」ほうがよっぽどストレスもなく、日々の生活や仕事も生き生きとできるようになります。
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