社会人になると、急激に友人作りのハードルが上がります。
「友人というか知り合いというか、仕事を通じた人間関係」ばかりになります。つまり「仕事を辞めると完全ぼっちになる」という感じ。特に男性に多いパターンですよね。
学生時代はクラスやサークル、バイト先など「いわゆる友人」ができる環境がいくつもあります。しかし社会人になると、そのようなな「システム」はありません。
特に、職場が唯一の人間関係にななっている場合、プライベートでの友人作りには意識的な行動が必要です。ただ、そもそもそんな余裕が「精神的、身体的、時間的」にあれば誰も苦労はしません。
今回は、社会人が直面する「友人作り難しさ」を「スケジュール」「収入」「価値観」の3つの観点から見ていきます!
「偶発性」から「意識的選択」への変化
社会心理学者の岸本浩也氏(立命館大学 人間科学部教授)は、社会人の友人作りが難しくなる理由をこう分析しています。
「学生時代の人間関係は偶発的な出会いに支えられていますが、社会人になると、能動的な選択がなければ人間関係は成立しません。人は忙しくなるほど、新たな関係構築に使えるエネルギーを失います。社会人の友人作りが難しいのは、決して努力不足ではなく環境的必然です。」(立命館大学公式サイト)
つまり、社会人になると友人作りの難易度は自然に跳ね上がるということです。また日々の仕事、さらには家庭のことなどで「エネルギーはほぼゼロ」の状態。これを踏まえて、具体的に見ていきましょう。
スケジュールの壁〜予定調整が全然上手くいかない〜
社会人にとって最大の敵は、言うまでもなく「スケジュール」です。職種によりますが、社会人は仕事に忙しくて自由時間は非常に少ないです。さらに、家庭を持っている人は、週末になると家族サービスで予定が埋まります。
例えば、社会人5年目で地方から都心に転職したAさん(28歳・会社員)のケース。最初は友人作りにやる気を見せていたものの、平日は遅くまで仕事、週末は疲労回復のため自宅で寝だめ。たまに友人と飲み会を計画しても、「ごめん、その日は無理っぽい」となかなかスケジュールが合いません。社会人になると、そもそも友人たちとのスケジュール調整だけでエネルギーを使い果たしてしまいます。
特に職種が違っていたりすると、「本当に全く合わなくなる」こともあります。働き方改革が進んできたとはいえ、まだまだ自由に使える時間は少ないです。
収入の壁〜財布の中身が友情関係を壊す〜
学生時代には、お金がなくても適当にファストフード店や安い居酒屋に行っても何の問題もないですよね。学生なので当然です。ところが社会人になると、経済的格差が目に見えて広がります。
「金銭的な感覚」が違ってくるのです。
高収入で余裕のある生活をしているBさんは、「銀座で飲まない?いいBAR見つけてさー」と軽く誘ってきます。しかし、非正規で普段の生活もカツカツの収入のCさんにとっては、「むしろ銀座に行くまでもキツイ…」となります。BARどころではありません。「いや、その日はちょっと無理かな…」と返すしかありません。Bさんに悪気はなくとも、こういう小さな格差が「お互いに居心地の悪さ」を生み、やがては距離を置く理由になってしまいます。
この「お金」の問題は非常にややこしいです。奥の深い問題で、友情を壊すだけでなく、家庭やさらには人生そのものを壊す可能性も大いに秘めています。
価値観の壁〜“大人”になると価値観の違いが生まれる〜
社会人になると、「人生における価値観」が人それぞれ大きく違ってきます。学生時代までは「何となくのノリ」だけで維持できた関係も、年齢を重ねるにつれ「ノリ」だけでは維持が難しくなってきます。
例えば、30代前半で仕事一筋のDさん。会社での出世やビジネス交流会に命を懸けています。一方で同世代のEさんは、趣味や家族と過ごす時間を最優先しています。この二人が久々に再会すると、「最近仕事どう?」と聞く仕事人間のDさんに対して、家族が大事人間のEさんは内心「休日まで仕事の話かよ」とうんざりします。逆にEさんの趣味の話を聞いたDさんは「ああ、そんなに暇で羨ましいね」と皮肉めいた考えを巡らせます。互いに悪意はないにせよ、もはや話すほど距離が広がるという感じです。
社会人になると、自分の価値観に沿って日々の時間を組み立てています。お互いの価値観が違えば違うほど、一緒に過ごすこと自体が苦痛になってきます。
スケジュール・収入・価値観がすべて揃うのはほぼない
スケジュール、収入、価値観。この3つのうち、どれかひとつでも欠ければ社会人の友情は簡単に崩壊します。
予定が合っても財布事情が合わなければ行き先が決まらず、財布事情が合っても価値観が違えば話題が合わない。価値観がピッタリでもスケジュールが合わないなら、そもそも会えません。
30代を過ぎれば独身、既婚、子育てとライフステージがさらに多様化し、「共通の話題」すら見つかりません。特に独身者が既婚者と会うと、子どもの写真や家庭の話を一方的に聞かされる苦行になりがち。逆に既婚者は独身の自由な生活を羨むばかりで、結局お互い疲れて「ちょっと、もう会うのはいいかな」となります。
それでも友人を作りたいんや!
社会人になってからの友人作りは難しいですが、最初から諦めるだけでは人生が寂しくなります。ここでは、社会人になってからの友人作りの方法についてご紹介します。
「薄く短い」関係を恐れない
いきなり深い関係になろうとする必要はありません。ランチの時間にちょっとだけ職場の同僚と雑談するといった「軽い付き合い」を増やすことです。トイレの個室でお弁当を食べていても友人は増えません。こうした薄く短い関係を重ねていき、「浅い関係をいくつも作っておく」とそのなかから本当に相性のいい人と出会う確率も上がります。
趣味のコミュニティに突撃
共通の趣味を持つ人とは、価値観の壁を超える可能性が高いです。オンラインゲーム、ワークショップ、スポーツクラブなど、趣味の場なら共通の話題があり、初対面でも温度高く会話をすることができます。何か一つでも「確実に価値観が合う」というのは非常に貴重なことなので、億劫がらずに自分が好きなものがあってそれにコミュニティがあったら、それにどんどん突撃したほうがいいです。
無理して金を使わない
高級レストランや海外旅行など、「経済レベルが高い付き合い」は長く続きません。お金を使わずに楽しめる関係が最も長続きします。何をするにしても「必要以上にお金がかかる」と、常にお金のことばかり考えてしまい、ストレスがたまります。経済レベルを「ある程度」合わせたほうが友人は作りやすいです。
「友達いない自分」を受け入れる
「私には友人が必要だ!友達100人作るぞ!」と意気込みながらも「あれ?休みの日はいつも独りだぞ」となったら落ち込みます。友人が作れないからといって、そこまで落ち込む必要はありません。むしろ、社会人はそもそも「友人が作りにくい環境」です。周りを見渡しても「お金や仕事の関係で成り立っている友人関係のようなもの」は非常に多いです。
つまり「私には友人が多い」と錯覚してる人は結構います。ただ、特に男性は「仕事を辞めると誰とも会わずに家にずっといる」ことも多いです。
このように考えると「友達がいない人は結構多いから、私もそこまで気にしなくていい」となります。一人の時間をストレスなく過ごすことができたら、それはそれで全く問題ありません。
まとめ
社会人になってからの友人作りは、最初から難易度が非常に高いです。「スケジュール」「収入」「価値観」という壁を前に、完全な理想を求めていると永久に友人はできません。
そのため、完璧な条件を揃えようとせず、「まあまあ合えば良い」くらいの割り切りを持ち、「どんどん行動する」ことが大切です。
「断られること」を極度に恐れないようにします。自分から積極的に行動すると、最初のうちは「浅い関係の人」でも「知らないうちに人生の友になっていた」ということもあります。
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