断れない人は、自分がいまどんなに忙しくても「本当はやりたくなくても」ついつい相手のお願いを受け入れてしまいます。
これが「相手のお願いを受け入れることこそが自分の喜び」というガンジーのような聖人なら全く問題ありません。「あぁあの人は徳が高い人だな」と理解できます。しかしそんな聖人はなかなかいません。だからガンジーは偉いのです。
断れないタイプの多くの人が「はぁ、また断れなかった・・・」と後悔しています。そしてその様子を周りから見ている人も「またやってるよあの人・・・」となぜかイライラしてきます。
断れない人の影響は本人だけでなく、薄っすらと周りにも影響が及びます。断れない人の特徴から断るための方法まで考察します。
断れない人の特徴とは
断れない人は何故断れないのでしょうか。
例えば仕事をしていて、自分の仕事で手一杯のときに同僚から「○○さん、この仕事手伝ってもらってもいいですか?」と言われて「え!?いま!!俺が!?無理無理無理無理無理!!!ちょっとは俺の状況見てよ、逆に手伝ってほしいぐらいだわ!」となぜ言えないのでしょうか。
完全に手一杯なのに「あぁ分かりました、じゃあそこに書類を置いといてください」と断り切れません。
そして自分の仕事を定時が少し回ったぐらいに終わらせて一息ついたときに、ふと横を見ると「同僚から渡された書類」。これやるのか・・・と頼まれた同僚の姿を探すと「もう帰っている」状態です。
・・・・。さぁやるか、と書類に目を通し始める断れない人。哀愁が凄いです。
周りから断れない人のことを見ている人のなかには「いやいや!断れよ!!」とあまりにもすべてを受け入れていくのでイライラする人もいるのではないでしょうか。
本当はやりたくないのに断れない人の特徴を見ていきましょう。
①意志がない(相手を尊重し過ぎる)
まず断れない人の特徴として「自分の確固とした意志がない」ということが挙げられます。自分の考え方をある程度持っていると、「自分の基準と合わせて」無理だと思ったら断ることができます。
自分の中で基準があれば、同僚からのしょうもない仕事のお願いも「最初にまず断る」ことができます。
「え?今は無理だよ」と、それから相手に理由を聞いて「よっぽどの理由があったら」相手のお願いを受け入れることができます。
断れない人は「自分よりも相手の意志を尊重し過ぎ」てしまいます。
しかし自分の人生の中で一番大切なのは「自分」のハズです。まずは自分のことを第一に考える「意志がない」ので、ずうずうしい相手から訳の分からないお願いをされてしまいます。
今まで何かを決めるときに「ずっと受け身の状態」だったので、自分から能動的に考えて、明らかにムダなお願いすら断れない体質が出来上がっています。
②嫌われたくない病
断れない人は「異常なほど周りとの摩擦を嫌う」傾向があります。もうツルツルなのです、摩擦ゼロ。
他人からお願いされたことを断ってしまうと「相手から嫌われるんじゃないか・・・」とセンチメンタルに考えてしまい、愛想笑いを浮かべながら相手のお願いを受け入れてしまいます。
誰しも相手から嫌われるのは避けたいですが、断れない人は「極端に周りからの評価を気にして」生活しています。
そして物事の考え方が「減点主義」なので、「誰からのお願いを断ったらマイナス1点かぁ・・・。少しでもマイナスはダメだな」と断ることができません。
さらに断れない人は「世の中の全員から好かれたい、絶対に」という強迫観念に取りつかれているので、「全員からのお願いを聞いてしまう」のです。
③実は腹黒
断れない人の心理状態として、「かなりのマイナス思考」であるのが分かります。誰かからの下らないお願いごとなんて、間髪入れずに「それは無理っすねー」と普通は断ることができます。
それは「実は腹黒い」というのが断れない人の奥底では見え隠れしています。
店ののれんをサッとかきわけて「やってる?」と顔だけ出している状態です。
というのも誰かからのお願いを断るときに「断ったら嫌われるかも・・・」と過剰に考えてしまうのは
「自分もそういう風に考えているから」に他なりません。
つまり「自分がお願いしたときに、誰かに断られたら、その人を嫌う」という腹黒い心理状態なので、「あの人も自分と同じ考えだろう」と勝手に推測して断ることができません。
普通に考えると、どうでもいいお願いをされて断っても「特に何も変化しない」です。頼むほうの相手も「ちょっとしたお願い程度」で頼んでいるので、断られたとしても「そうか」ぐらいです。
「周りの人も自分と同じように、お願いを断られると怒るだろう」という考え方を強く持っているので、嫌われるのが怖いと考えてしまいます。
しかし安心してください。「誰かからのお願い」というのは、お願いする側からすると「他にも候補者が何人かいる」状態です。そのため1人から断られても「じゃあ次はあの人にお願いしよう」となるぐらいです。
自分の中の腹黒い考えを「相手もそういう風に考えているだろう」と邪推する必要はありません。
断れない人がスパッと断る方法
この記事を見ている人のなかには「自分の性格的に周りからのお願いを断れない・・・つらい」と考えている人もいるかもしれません。
そんな人でも、切れ味抜群の刀のようにスパッと断る方法をご紹介します。
断るための考え方
まず断るための前提として、しっかりとした「自分の中の基準」を作るべきです。
「このラインを超えない限りは絶対に動かないぞ」という指針を作っておくとラクです。その基準作りとして以下の3つを参考にしてください。
- 生命に関わりがあるか
- 自分にとってプラスはあるか
- その人は大切な人か
まず「生命に関わりがあるか」は当然ですよね。例えば道でおばあちゃんが苦しそうに倒れていて、自分に向かって「助けてください・・・」と言ってるのに「おばあちゃん、それは甘えだと思いますよ」と言いながら颯爽と立ち去ることはできません。直ぐに助けなければいけません。
次の「自分にとってプラスはあるか」は仕事のときには「必ず」考えるようにします。社会人における経済活動は「生存をかけた競争」なのです。他人のことなんて考えているヒマはありませんし、他人も自分もことを考えてくれません。
「まずは自分」のことを考えて、余裕ができたら他人を助けるぐらいでちょうど良いです。そのため自分にとって「そのお願いを受け入れることに意味はあるのか」を考えます。
お願いを受け入れるときも「これは貸しだな」と冗談っぽく言いつつ、実は結構本気で言っていると相手に思わすことが大切です。次はこっちのお願い聞いてな、と。自分にとってそのお願いが「何のプラスにもならない」場合は、「ちょっと厳しいですねー」と直ぐに言います。「うーんどうしようかなー」と考えるぐらいなら、「とりあえず断る」ようにしましょう。
めんどくさい相談やお願いは、仕事の場面ではできるだけ避けるようにしてください。
もしくは「本当にお願いしてきた相手が自分で解決できないのか確認」をします。「いや、これは1人でいけるでしょ?」「期限はいつ?」としっかりと確認するのが大切です。何も考えずに受け入れていては身体がいくつあっても足りません。
「仕事上でのお願いは基本的には断る方針」ぐらいでちょうど良いです。「Win-Win」のお願いをしてこいと。こちらの負担だけが増えるお願いは「向こう側の甘え」です。
第一、しょうもないことをお願いをするなんて「こちらの時間を何だと思ってるんだ」と感じるのが普通ではないでしょうか。時間がないんだと。私の場合だと直ぐに家に帰ってウイイレ(サッカーゲーム)をしないといけません。つまらないお願いを聞いているヒマはないのです。
最後の「その人は大切な人かどうか」も非常に重要です。私は「大切な人のお願いは無理にでも聞いたほうが良い」と思っています。例えば信用している部下が「あのーすみません。実はやらかしてしまいまして・・・」と青白い顔で相談してきたら、自分にとってマイナスになりそうなことでもできる範囲で何とか頑張ります。
また自分が大切な友人や恋人や家族などのお願いはなるべく断らない方向で考えます。
我々1人の人間の守備範囲はそこまで広くないので、自分が深く直接かかわっている人たちには損得勘定抜きの付き合いをしたいところです。
言い換えると「自分の大切な人以外のお願いは基本的には断るスタンス」にしておくと、ガンガン断ることができます。
当然ながら多少の恨みを買うこともありますが、それは「仕方ない」と考えることで問題ありません。「人生って時間が短いから仕方ないよね、神様を恨んでよ」という感覚です。
こんなに多くの人が多様性を持って生活しているので、誰かの考えを認めるということは、他の誰かの考えは認めないということになります。
「すべての考えを平等に受け入れる」と頭の中がお花畑な綺麗ごとが好きな人のことは無視していいです。
中国の孟子も「敵国外患無き者は国恒に亡ぶ」と言っています。この考え方は「外にちょっとぐらい敵がいないと緊張感がなくなって内側からダメになるよ」という意味ですが、人間個人に置き換えて考えることもできます。