優秀過ぎる人が出世できない場合は往々としてあります。特に古くから続く大企業や年功序列の会社、または役所はそういったケースが多いです。
私も「たぶんあの人は出世するやろなぁ」と思っていた優秀すぎる人を何人も見ていますが、「ある一定の地位」から上になかなかイケません。
「部下から見た場合」と「上司から見た場合」では、「評価システム」が違います。そして何人もの優秀すぎる人が出世しないのを見て、ある共通点を見つけました。
これを読んでいる人で「自分は優秀なのに全然評価されない!会社は何も分かってない!」と感じている優秀な人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
優秀すぎる人の特徴は
優秀すぎる人は「効率的・合理的に考えることができる」という特徴があります。最短距離でゴールに向かうことができ、リーダーシップも抜群でエネルギッシュな人です。
効率的・合理的というのは、新規のプロジェクトや企画に取り組むときに「何が重要で、何から始めるべきか、どれぐらいのスパン・予算で取り組むべきか、人選をどうするか」といったことをパパっと決められます。
優秀すぎる人の話を聞くと「うん、確かにそうだ。“普通に考えたら”それしかないね」という具合です。
さらに「記憶力が抜群に良い」のも挙げられます。効率的・合理的に考えられるのは「過去の記憶が整理整頓された状態にある」と同義です。
会議などでも「ほぼ資料を見ずに」バンバン意見を言う優秀すぎる人もいます。そしてことごとく「”普通に考えたら”、その意見は正しい」のです。優秀過ぎる人は本当に驚くような記憶力をしています。
なぜ出世できないのか
しかし優秀過ぎる人はなぜ出世できないのでしょうか。“普通に考えたら”優秀な人が会社や組織のトップに立って会社全体を引っ張っていったほうが良いですよね。そのほうが合理的であり効率的です。
それでも往々として「優秀じゃない人が出世する」ことが多いです。そこには不思議な力が働いていると感じてしまいますよね。
私も20代のころは「優秀な人が出世するのは当然だろう」と考えていましたが、時が経つにつれ「そうでもない」と実感する機会が多くなりました。
優秀すぎる人が出世しない理由としては大きく次の2点が挙げられます。
- 会社・組織の評価システムが問題
- 本人に問題がある
会社の評価システムが問題
まず優秀すぎる人が出世しない原因で一番大きいのが「そもそも会社・組織の評価システムに問題がある」場合がほとんどです。人事の評価では主に上司が権限を持っています。部下が上司を評価するシステムはありません。
これは上司側かすると、「そんなもんされたらたまったもんじゃない」からしません。ルールは上司が決めます。逆はありません。「部下の意見を聞くことはあっても参考程度にしか取り入れられない」のです。
また上司が選ぶようにしないと、人事に失敗したときの責任の所在が不明確になります。
つまり上司が部下を引き上げるのが人事なわけです。例えば、A部長がいるとします。A部長が役員へと抜擢されると、A部長の席が空きますよね。そこに次の人を充てるわけですが、そのときに「A部長の意見が大きく採用される」のです。A部長よりも上の上司は「次のキミのポストで誰か良い奴いる?」と聞いて「Bくんなんかはいかがでしょうか?」といった具合です。
そこから根回しが始まり、Bが部長になります。するとBは「Aさんに選んでもらった」という借りできるため、次の人事で、Aさんから「Cくんって最近がんばってるんじゃない?」と言われると、Cくんについてそれなりの対処をしないといけなくなります。要は「こういったシステム自体に問題がある」のですが、仕方ないといえば仕方ありません。ヒューマンですよね。
この上司のえこひいきによる人事システムに突然優秀すぎる人が来ると問題が起こります。先ほどの例で考えると、A部長の後にBが部長になっています。このとき「Bが部長職に就くなり瞬く間にBが管理する部門が莫大な利益を上げた」場合、会社とBにとっては良いことです。しかし「A部長の立場で考えると、それはダメ」なのです。
A部長ができなかったことをBが簡単に次々とクリアしていくと、「今までのAの方針・管理が悪かった」という評価につながります。そのためA部長としては「自分がやってきたことよりも少しだけ下の成果をBが上げてくれればそれで良い」と考えます。
このようになると「優秀すぎる人は出世できなくなる」のです。
本人に問題がある場合も
ただ「すべて何もかも会社や社会システムが悪い」わけではありません。
「本人にも問題がある」場合も結構多いのです。私の感覚でいえば「優秀過ぎる人のなかの8割ぐらいは本人にも何かしらの問題がある」と感じています。これはあくまでも会社で出世する場合に限った話ですが。
優秀すぎると「不効率なことができない」体質になっています。不効率なことに対して「めちゃくちゃ不寛容」なのです。
例えば、池袋から渋谷までどのような方法を使って行くと良いか?というときに、普通に考えたら「電車」や「車」、さらには「自転車」もアリと考えますよね。
しかし会社で「社員の連帯感を高めるために歩いて行こう!皆で一緒に」と決められたらどうします?優秀すぎる人は「猛反発」しますよね。普通に考えたらそれはそうなのですが、こういうときに「ずっと反発している」と、誰かと意見が対立します。そして意見が対立した相手と「口もきけないほど、お互いの溝が深まる」のです。
口もきけない、顔も見たくない人が職場に増えると、それに比例して出世の見込みは低くなります。優秀すぎる人が出世することに対して「猛反発する人」が増えるためです。命がけで反発してくる人もいます。「あの人が上司になるぐらいなら辞めます」と。こういう人が周りに増えると確実に出世はできません。
つまり「優秀すぎる人は協調して誰かと物事を進めることができない」のです。優秀すぎる人は「不効率なことに対して不寛容」なので、「直ぐに敵を作ってしまう」傾向があります。
優秀すぎる人は「職場で敵が多すぎる」ため、ある一定の地位から出世できなくなるのです。簡単にいえば「人望がない」ということに尽きます。人望というのは優秀だから厚くなるわけではありません。テストの点数を誰かに見せても、人望は厚くならないのです。
時には「どう考えても不効率」なことでも、受け入れる必要があります。出世するためには、自分への批判を一定程度に抑えるのも大切です。
「相手には51:49で勝ったと思わせて、実際は51:49でこっちが勝っている交渉が一番良い」とよく言われますが、日本の会社・組織のなかではこの考え方が綺麗に当てはまります。
【対処法】優秀すぎる人は「自分がトップになるまで」我慢する
優秀すぎる人は、自分が本当の権限を持つまでグッとこらえるしかありません。本当に難しいと思いますが、世の中1+1=2じゃないことなんて当たり前です。
1+1=「上司のその日の気分次第」といったよく分からない答えになることも多いのです。そういったときに「そんなことはあり得ない。〇〇の理論では~」と教科書片手に熱くなるのではなく「世の中そういうものなのかもしれない。しかし自分がトップになったら絶対にこういうシステムは変えてやる!」という意気込みのほうが出世できます。
ただ、往々にして自分が出世すると、自分も同じような感じになります。同じように気分次第で物事を判断するようになります。ヒューマンですね。しびれます。
また出世するときに「私は一つずつ階段を上ります」といった気持ちを上司に見せるのも大切です。優秀過ぎる人は「一気にテッペン狙うで!」と思いがちなので、「最低限、直属の上司の後ろをピッタリマーク」ぐらいで良いかと思います。曖昧な表現ですが「上司を飛び越えて一気に出世するつもりはないですよ」という姿勢を見せることで、優秀過ぎる人の普通の上司は「何となく安心する」のです。
「直属の上司が出世するためのお土産」をバンバン渡していくのです。そうすることによって、その上司にも優秀すぎる部下が必要不可欠になっていきます。
ただ個人的には「優秀すぎる人は起業してがんばってほしい」という思いのほうが強いです。優秀すぎるとある一定の地位40代前半ぐらい(最近では30代前半)までは順調にいけるのですが、そこから上に行くのが厳しくなります。40代から会社を辞めて新たな挑戦をするのは相当な体力が必要です。家庭やら何やらで思い切った転職もしづらくなります。
そしてそのまま会社に居座って、自分よりも能力の低い年下の上司に使われる立場になってしまいます。そうなると、精神的に一気にガクンと落ちるんですよね。意外と多いですよ、本当は優秀なのに身動きが取れなくなっている40代から50代。
40代なのに白髪がびっしり生えている人は多いです。
優秀すぎる人は自分個人で能力を最大限発揮できる場所を若いうちから自分で作ったほうが良いと個人的には考えています。